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オランウータンは過去について語ることができる

オランウータンは過去について語ることができる」
これはヒトの言語の進化の基礎になるような能力かもしれないと研究者は語っています。

オランウータンも人間と同じように過去の出来事を伝えることができるかもしれない
リンク より

オランウータンが「過去の出来事を他の個体に伝達する」ことができるかもしれないと、イギリスのセント・アンドルーズ大学の研究チームが主張しています。「現在のことではない、過去や未来の出来事についての伝達」はヒトの繁栄に大きな役割を果たしており、オランウータンが過去や未来の出来事を伝えることができるとすれば、オランウータンを調査することで「ヒトの言語がどのように進化してきたのか」を解明する手がかりが得られる可能性があるとのことです。

ヒトは言葉によって情報を伝達することを可能にした結果、ヒト同士での情報や知識の共有において大きな進歩を遂げました。言葉によってヒトは「今、目の前にあるもの」だけではなく、「過去に起こったできごと」「将来起こること」について話すことができるようになったのです。この「displaced reference(置換された言及)」として知られている言語の特徴はヒトの日常に浸透しており、現在のようにヒトが地球を支配する過程で大きな役割を果たしました。

情報伝達の際にdisplaced referenceを使うことで、現在話し相手と自分の目の前にある事物以外について話すことが可能になり、伝達可能な情報量が飛躍的に増加します。目の前にない事物に関する情報を共有するヒト以外の動物として、社会的集団を形成する昆虫の一部が確認されているとのこと。たとえばミツバチは、「ミツバチのダンス」と呼ばれる特定のパターンのダンスをすることでミツや花粉、水源や新しい巣の予定地を知らせることができます。ミツバチのダンスの意味を初めて解読したカール・フォン・フリッシュ氏は、動物行動学という学問分野に大きな寄与を果たしたとして1973年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

しかし、生物学的にはミツバチのような昆虫と人間は大きくかけ離れた存在であり、ミツバチのダンスに関する研究を進めても「ヒトの言語がどのように進化してきたのか」を解き明かす手がかりは得にくいとのこと。そんな中、セント・アンドルーズ大学の研究員であるAdriano R. Lameira氏はオランウータンについての研究を行い、オランウータンが「今ここにないもの」についての情報を伝達する可能性があることを突き止めたそうです。

Lameira氏の研究チームは、インドネシアのスマトラ島の熱帯雨林で野生のオランウータンのメス7頭を相手に「捕食者であるスマトラトラとの出会い」をシミュレーションしたとのこと。実験ではスマトラトラに変装した研究者がオランウータンの目の前の地面を歩き回り、その際にオランウータンがどのような声を発するのかを調査したそうです。

その結果、オランウータンのメスはストレスによって行動が抑制されていたというわけではなかったにも関わらず、捕食者に対して音声的な反応を見せませんでした。その代わり、ベンガルトラがその場を立ち去った後もしばらく待ってから、ようやくオランウータンは警告の声を出したとのこと。オランウータンはベンガルトラの変装をした研究者と接触してから声を出すまで、平均して7分ほどの間隔を開けており、最大で接触から20分も声を発するのを控える個体もいました。

当然ながらベンガルトラがすぐ近くにいる時、声や物音を立ててしまうことは大きな危険を伴います。もしもオランウータンがベンガルトラと接触してすぐに声を出した場合、その声自体が命取りになりかねません。そのため、オランウータンのメスが声を出さなかったことについては十分に理解できる反応です。その一方で、「いったいなぜベンガルトラが去って時間が経過してから、オランウータンは警告を発したのか?」という疑問が浮かびます。

「この時、もしも母親がベンガルトラが去った後も警告を発さなければ、オランウータンの子どもはベンガルトラの脅威に気づかなかったでしょう」と述べるLameira氏は、時間差で発された警告は母親が子どもにベンガルトラの危険について伝えていたのだと考えています。この仮説を前提とすれば、オランウータンは目の前にいる脅威についてだけではなく、「さっき通過していった脅威」についても情報を共有できるということになります。

1970年代、一度人間によって保護されたオランウータンを野生に帰そうという試みが行われましたが、その多くは失敗に終わりました。人間によって育てられたオランウータンは、ベンガルトラをはじめとするジャングルの危険についての知識がなく、難なく捕食者の餌食になってしまったのです。

一方でオランウータンの子どもは数年間にわたって母親と行動を共にするため、この期間中に母親からさまざまな知識や技能を受け継ぐことができます。今回Lameira氏の研究チームが発見した「母オランウータンの警告音声の遅延」に関する事実は、母オランウータンが子どもにベンガルトラの脅威を「今、目の前にあるのではなく、さっき目の前を通ったもの」として教えていることを示唆しています。

今回の仮説はオランウータンが言葉を話したというわけではありませんが、ヒト以外の類人猿が現在だけでなく過去、あるいは未来についての情報を伝達できる可能性を示しているとのこと。ヒトに近い存在における情報伝達を調査することで、どのようにヒトが現在のような言語能力を獲得し、他の類人猿と違う存在になっていたのかの手がかりを得ることができるとLameira氏は述べました。

(引用終わり)




中村英起
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大陸移動と進化の関係

大陸移動と進化の関係

僕たちの祖先をめぐる15億年の旅 より引用です
リンク

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◎大陸移動と進化の関係

マダガスカルはアフリカ近くの島ですが、恐竜が現れた頃はゴンドワナ超大陸の一部でした(図5-2)。ゴンドワナ超大陸は現在のアフリカ、マダガスカル、インド、南アメリカ、オーストラリア、南極などを含む巨大な大陸だったのです。

図5-2. 南半球のゴンドワナ超大陸の分裂。北半球の大陸がローラシア大陸。 リンク

1億3,000万年くらい前からそれが分裂して、次第に現在のような大陸の配置ができあがってきました。最初はマダガスカルとインドのかたまりがアフリカから分かれました。その後、7,500万年前頃にインドがマダガスカルから分かれて北の方に移動して4,500万年前頃に最終的にアジアとつながったのです。このようなことを「大陸移動」といいます。前にお話ししたアフリカと南アメリカの分裂も、この一環でした。

マダガスカルは1億3,000万年前にアフリカから分かれたわけですが、その頃はまだ哺乳類の進化はそれほど進んでいなく、サルの仲間の霊長目は地球上にまだ出現していませんでした。ですから、キツネザルの起源を、マダガスカルがアフリカから分離したあとにマダガスカルに残ったものだと考えることはできません。

それでは霊長類がほかの地域で出現して以来ずっと島であったマダガスカルのサルたちは、どこからどのようにしてやってきたのでしょうか? このことについては、いろいろな説が出されましたが、現在のところ次のような説が正しいと考えられています。

6,000万年くらい前に、原猿類の1種がアフリカから海を越えてマダガスカルに渡ってきました。この1種類の原猿類からたくさんの子孫が分かれて、現在マダガスカルで見られるいろいろなキツネザルが進化したのです。

新世界ザルの話で出てきたように、アフリカでできた浮島にキツネザルの祖先がたまたま乗っていて、マダガスカルまで漂流したということがあったと考えられます。マダガスカルに運よくたどり着いた祖先キツネザルは、競争相手のいない新天地で多様な種に進化をとげたのです。
アフリカやアジアの原猿類はすべて夜行性ですが、マダガスカルの原猿類のなかには昼行性のものもたくさんいます。マダガスカルにはアフリカやアジアのような昼行性の真猿類がいなかったからでしょう。

マダガスカルにはじめてヒトがやってきたのは、今からおよそ2,000年前でした。その頃は現在よりも多様な種類のキツネザルが住んでいたのです。メガラダピス・エドワルシという体重が80kgにも達する巨大なキツネザル(図5-3)やそのほかにも巨大なキツネザルが何種類かいました。ところが、体重が6kg~9.5kg程度である現在のインドリよりも大きなキツネザルはすべて絶滅してしまったのです。ヒトによる狩りや環境破壊が原因だったと考えられます。

図5-3. 巨大なキツネザルだったメガラダピス・エドワルシ。体重が80kgにも達することがあったという。

数百万年という長い時間のあいだには、陸上動物が海を渡るという普通には起らないようなまれなことが起こることがあります。そのことが、その後の進化の歴史に大きな影響を与えるのです。祖先がたまたま首尾よくアフリカからマダガスカルに渡ることに成功しなかったら、現在マダガスカルで見られるさまざまなキツネザルたちはどれもこの世にいなかったのです。

幸運に恵まれた祖先が海を渡って新天地にやってきたという考えは、にわかには信じにくいかもしれません。大陸移動でアフリカからマダガスカルが分かれたあとになって、一時的にアフリカとマダガスカルが陸続きになり(この通路を「陸橋」と言います)、そこを通ってキツネザルの祖先はアフリカからやって来たという考えもありました。寒冷化などで海水面が下がり、陸橋ができたというのです。ところが、そのような考えでは説明できないことが多いのです。
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(引用おわり)



孫市

サルが大海を渡った驚くべき方法

僕たちの祖先をめぐる15億年の旅 より引用です
リンク

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◎大海を渡った驚くべき方法

それでは、新世界ザルの祖先はどのような方法で海を渡れたのでしょうか? 下の写真(図4-4)は尾瀬の沼にできた「浮島」で、水草などの植物の枯れたものが積み重なってできたものです。

図4-4. 尾瀬で見られる浮島(うきしま) 。

浮島は固定された島ではなくて、水面に浮いています。これがもっと大規模になると長さが100メートルを超えることもあり、動物のえさになるような実のなる木が生えることもあります。実際にカリブ海でココナッツの木が生えていて、たくさんのサルが乗っている浮島が漂流しているのが目撃されたこともあります。

このような浮島が洪水などで河を下って海に流されるということもあったでしょう。アフリカでできた浮島に新世界ザルの祖先がたまたま乗っていて、南アメリカまで漂流したということもあったと考えられます。
新世界ザルがアフリカから南アメリカに渡って来たのは今からおよそ3,400万年前と考えられますが、あとで話に出てくる大陸移動があるために、その頃の南アメリカ大陸は今よりはアフリカ大陸に近かったのです。しかもアフリカから南アメリカの方向に海流が流れていて、長い年月の間にはこのような移住が成功する可能性は十分にあったと考えられます。
約3,400万年前、浮島に乗って大海を渡り、南アメリカに運よくたどり着いた新世界ザルの祖先は、競争相手のいない新天地でのびのびと進化をとげたのです。

一見あり得ないようなことがたまたま起ったことによって、系統樹マンダラ(図3-1)の共通祖先○2から南アメリカの実に多様な霊長類のすべてが進化したのです。

アフリカから南アメリカに向けた霊長類の航海は何回もあったものと思われますが、たくさんの失敗のなかでたまたま成功した"航海"が霊長類進化のその後の歴史におよぼしたインパクトは甚大なものでした。
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(引用おわり)





孫市

初期オランウータンの特徴を色濃く受け継いでいる「タパヌリ・オランウータン」

2017年に、オランウータンの3番目の新種「タパヌリ・オランウータン」が報告されている。
スマトラ島のトバ湖南部で発見されたタパヌリ・オランウータンは、スンダランドの初期オランウータンの特徴を色濃く受け継ぎ、他の2種(ボルネオ・オランウータンとスマトラ・オランウータン)と300万年前に分岐したとされる。
※その後、ボルネオとスマトラは70万年前に分岐。

タパヌリは、細長い体つきはスマトラに似ているが、体毛はスマトラより細かく縮れている。また、体毛はボルネオと比べるとシナモン色が濃い。両種よりも発達した犬歯を持つ。

Q.オランウータンの起源は、いつ?
学説ではオランウータンとヒトの共通祖先が別れたのは1500万年前と言われているが、オランウータンが生息する湿潤な熱帯雨林のアジアで、250万年前より古いオランウータンの化石は見つかっていない。

37ゲノムを対象とした研究報告からの年代推定なので確定できないが、この報告どおりだとすると、オランウータンの起源は、他の2種と分岐した300万年前よりも古いことになる。

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リンク【ニュース】オランウータンの3番目の新種が報告される!

◆<論文の要約>
・スマトラ島のトバ湖南部で、1997年に発見された、孤立したオランウータンの個体群はスマトラ、ボルネオと並ぶ独自の種、Tapanuli orangutan (Pongo tapanuliensis)である

・発見当初から、行動と遺伝子のレベルで、このオランウータンは他種と区別されると考えられていたが、新種と断定できる十分な証拠がなかった

・2013年にブレイクスルーがあり、共著者のMeijaardらが(農業)害獣として殺された個体の骨格を入手した。頭骨と歯に関する慎重な研究の結果、新種であることが証明された。

・行動(ロングコール)も他種とは異なる

・37ゲノムを対象とした研究から、オランウータン3種は300万年前に別れたことが示された。
ボルネオとスマトラが遅くとも70万年前に分岐したにもかかわらず、Tapanuliオランウータンは両種より「古い」(論文Fig.3B)

・Tapanuliオランウータンは、アジア大陸から(スマトラ/スンダランド)移入してきたオランウータンの生き残りで、現生Pongo属の中では最も古い。
Tapanuliオランウータンは、スマトラオランウータンとわずかな遺伝的交流があったが(おそらく一部の雄が長距離分散した)、1~2万年前からその交流も途絶え、孤立している。

・わずか800頭しか残っていないTapanuliオランウータンは、密猟にさらされ、水力発電のダム計画によって最良の生息地が水没する危機に直面している。既往の研究は年1%の死亡率がTapanuliオランウータンを絶滅させる、と指摘しているので、800頭のうち8頭が殺されるだけで、このオランウータンは絶滅する。
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■リンクオランウータンに「縮れ毛」の新種 インドネシアで発見 2017年11月3日 0時47分

インドネシア・スマトラ島で大型類人猿オランウータンの新種が見つかった。シナモン色で縮れた体毛が特徴で、「タパヌリ・オランウータン」と名付けられた。調査研究が進んだ今、大型類人猿の新種の発見は珍しく、1929年にアフリカで見つかったボノボ以来、88年ぶりだという。英国やインドネシアなどの国際研究チームが2日付の米科学誌カレント・バイオロジーに発表した。

 オランウータンはこれまで、スマトラ島にすむ「スマトラ・オランウータン」と、海を隔てたボルネオ島にすむ「ボルネオ・オランウータン」の2種が知られている。

 タパヌリは、細長い体つきはスマトラに似ているが、体毛はスマトラより細かく縮れている。また、体毛はボルネオと比べるとシナモン色が濃い。両種よりも発達した犬歯を持つ。遺伝的な特徴からボルネオに近いことが分かった。
<中略>

〈オランウータンに詳しい久世濃子・日本学術振興会特別研究員の話〉
膨大な遺伝データと骨の形態的な特徴を使った分析の結果であり、信頼性は高い。オランウータンは繁殖のスピードが遅く、保全対策が必要だ。生息地の分断やダムの開発、密猟などへの対策が求められる。
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麻丘東出

調査が難しいオランウータン

「人生に必要な忍耐はすべてオランウータン(の調査)から学んだ」と言われるくらい、オランウータンの調査は難しく、オランウータンの生態はまだ謎が多い。

なぜ調査が難しいのか。それは、
・人の手がついていない原生林で生息するオランウータンが非常に少ないこと。これは、大規模農場化による森林伐採や火災、密猟など、人の手が入りオランウータンの数が相当減少していることも影響している。
・また、生涯の殆どを樹上で生活しているので、観察しにくいこと。加えて単独性なので3日間同じ場所を観察していても、他の個体を1回も発見できないくらい出会えない。(社会交渉を観察できたのは全観察の1%)
・またオランウータンは、休憩が多い。食べて、移動して、食べて、の間に随時「休み」が入り、かつ長時間休む。だから、寝床にいても居るのか居ないのか解りにくく、ひたすら待つしかなくなる。
こんな状況で、10年観察して漸く論文ができるくらい研究が進まないのがオランウータンと言われている。

その中で唯一原生林にオランウータンが生息しているダナムバレイは、果実が長期間実らない時期もある過酷な原生林。原生林でありオリジナルな環境だと想定されると同時に、ある意味極端な環境でもある。熱帯雨林故に豊かな森と思っていたが、果実が実らない厳しい環境のなかでも木の皮や葉を食べる機能を獲得したのがオランウータンだ。(⇒人類の極限時代の飢餓適応の基盤)

また、研究者である久世さん曰く
「森の果実が増えると、栄養状態がよくなってメスの排卵が戻って妊娠するという先行研究があるんです。でも私たちのデータでは、果実生産が増えるよりも前に排卵が戻って、実際に果実が実るときには皆、妊娠しているんです。実は、妊娠中よりも、出産後の授乳のほうがエネルギーを必要とするので、果実生産が高くなる前に排卵を戻して果実生産の高い時期に妊娠して、脂肪を蓄えるのは理にかなっていると思うんです」

というように、果実を摂取するタイミングを、妊娠のために合わせるのではなく、産後保育のために合わせているのも興味深い。交配・生殖は種を残すための根幹部だが、出産後の保育期間中にその戦略が移行しているようにも見える。

またダナムバレイでは、オランウータンが捕食される形跡もあるようだ。ウンピョウという中型のネコ科の動物と考えられている。もし先祖帰りにより樹上に登れなくなれば、地上には捕食される天敵がおり、隠れ住むしかなくなる事態も大いに考えられる。

参考サイト
リンク
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