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哺乳類の性闘争本能

サル社会を解明する為には、サルに引き継がれた哺乳類の本能特性を、概略的にでも押さえておく必要があると、思われます。

哺乳類の最大の特徴は、胎内保育機能にあります。しかし、卵産動物が一般に大量の卵を産み、その大部分が成体になるまでに外敵に喰われることによって淘汰適応を実現しているのに対して、胎内保育と産後保育の哺乳類には、適者だけ生き残ることによって種としてより秀れた適応を実現してゆく淘汰適応の原理が働き難くなります。そこで、淘汰適応が成体後に引き延ばされ、成体の淘汰を激化する必要から、哺乳類は性闘争=縄張り闘争の本能を著しく強化してゆきました。実際、性闘争を強化した種の方が適応力が高くなるので、性闘争の弱い種は次第に駆逐されてゆきます。かくして哺乳類は、性闘争を極端に激化させた動物となっていきました。現哺乳類の祖先と考えられているモグラの場合、性闘争に敗け縄張りを確保できなかった個体(=大半の個体)は、エサを確保できずに死んでゆきます。

もちろん、性闘争=縄張り闘争の本能は、脊椎動物の前から殆どの動物に存在していますが、哺乳類は、この性闘争(=縄張り闘争)本能を淘汰適応の必要から極端に強化した動物だと云えます。その場合、種を存続させる為には、闘争存在たるオスがより闘争性を強めると共に、メスたちの外側で外敵に対応した方が有利です。従って、とりわけオスの性闘争(=縄張り闘争)本能が著しく強化されることになります。モグラの場合、メスも性闘争=縄張り闘争をしますが、オスの闘争はより過激で、その行動圏はメスの3倍に及びます。従って、概ね3匹のメスの縄張りを包摂する形で1匹のオスの縄張りが形成されます。これが、哺乳類に特徴的な首雄集中婚の原型です。

こうして、哺乳類のオス・メス関係を特徴づけるオスの性闘争の激しさと内雌外雄の摂理(本能)、および群れの全ての雌が首雄(勝者)に集中する首雄集中婚の婚姻様式(本能)が形成されました。このオスの性闘争の激しさと内雌外雄の摂理と集中婚は多くの哺乳類に見られる一般的特徴であり、もちろんサル・人類もそれを踏襲しています。


四方勢至
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