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白目を使った視線によるコミュニケーション

強膜(=白目)と呼ばれる部分が白いのはヒトだけで、ゴリラやチンパンジーはすべてこの強膜の部分が黒くなっています。

樹上に住めなくなったヒトの先祖であるカタワの猿は、なんとか周りの猛獣に対抗するため、組織力とりわけコミュニケーション能力を強化しました。それが、白目を使った視線によるコミュニケーションです。

以下ダイヤモンド・オンラインの「ヒトの白目はなぜ白いのか」より引用
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■視線によるコミュニケーション
 
ヒトの黒目は黒いので、白目が白いことによってそれが際立ちます。だから目の向き、つまり「視線」がよくわかります。「目は口ほどにものを言う」という言葉通り、ノンバーバル(非言語)・コミュニケーションの代表格が、視線です。ヒトは、
・フィードバックを求めるとき
・連絡をとりたいとき
・好意を示すとき
・敵意を示すとき
にアイコンタクトを取り(視線を合わせ)、親しさや好意が増すと、アイコンタクト時間が増えます。同時に、相手の視線を適度に回避することで、親しさの程度を正確に相手に伝えてもいます。ヒトは濃密な「視線によるコミュニケーション」を黒目と白目のコントラストによって成立させているのです。

でもこの問いの、本当の面白さはここからです。実は「白目が白い」のはヒトだけなのです。同じ霊長類なのに、サル(ここではヒト以外をサルとする)の白目はもれなく黒いのです。

■白目が白いのはヒトだけ!?

「白目が黒い」とは変な表現です。ヒトの白目にあたる部分は「強膜(きょうまく)」と呼ぶので、「なぜサルの強膜は黒いのか」と言い換えましょう。

ゴリラもチンパンジーもすべてのサルの強膜は、小ザルの頃を除けばかなり濃い茶色をしています。黒目も含めれば、サルたちの眼は全体的に黒いのです。いったいなぜなのでしょう? これでは「視線によるコミュニケーション」はとれません。

サルの眼は、多くの魚や鳥のように頭の左右に付いているのではなく、正面に両眼が付いています。このお蔭で立体視ができ、対象までの正確な距離がわかります。森の中、樹上で生きていくには、それが必須だったのでしょう。そうでなければ高木の上で、枝や果実を正確に掴めません。それは命に関わります。

その代わりに視野が狭いので、広域をスキャンするには体や首を回すか、眼球だけを動かさなくてはいけません。でも、強膜が白くてはマズいことがあるのです。特に、より強い相手(=捕食者、抗争相手)と遭遇したときに。強膜が白くてはマズいこと、それは「視線がバレる」ことなのです。

視線によって、相手に自分の次の行動がわかってしまいます。逃げようとしているのか、襲おうとしているのか。どこに逃げるのか、どこを攻撃するのか。視線がバレて良いことはひとつもありません。生き残るために、敵との戦いを有利にするために、「すべてのサルの強膜は黒い」のです。ではなぜヒト「だけ」が、その強膜を白くしたのでしょうか?

■なぜヒトの強膜だけが白くなったのか!

ヒトはおよそ200万年前、木を降り森を出てサバンナで生きることを選択しました。でも「地上に降りた、か弱きサル」であったヒトに、単独で敵(ライオンなど)と戦うという選択肢はありませんでした。

ヒトの最大の武器は、頭脳を使った仲間との連繋プレーでした。素早い情報交換のために、そのコミュニケーション能力を発達させてきました。そのひとつが「視線」であり「目の表情」だったわけです。

ヒトの白目が白いのは、文字通り「目にものを言わせる」ため。そしてそれは、力やスピードでなく智慧で戦うことを選択した、ヒトという霊長類の特殊な武器だったのです。

■本当の「問い」はなんだったのか?
 
最初に「白目はなぜ白いのか?」と問いました。でも本当の「問い」はそんなものではありませんでした。
・なぜすべてのサルの強膜は黒いのか
・なのになぜヒトだけ強膜が白いのか
が本当の問いでした。これが「白目はなぜ白い?」という同義語反復(トートロジー)的な問いの、本当の姿だったのです。この正しい問いを初めてちゃんと発したのは、小林洋美さんという日本人研究者でした。

それまでも「サルの目は黒い」「ヒトだけ違う」ということは専門家の間では認識されていましたが、きちんと調査した者はいませんでした。京都大学の大学院生だった彼女はそれをちゃんと調べ(霊長類92種を名古屋の日本モンキーセンターで調査)、さまざまな発見をし、論文としました。1997年のことでした。

この問いは、ギリシャの昔に立てられてもよかったでしょう。ヒトもサルもそのときから目の色は一緒です。でもほんの20年前までちゃんと問う者はおらず、調べられることもありませんでした。なんとなくの常識に埋もれていたのです。

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西本圭
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