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オランウータンやゴリラのボスは、集団のトップの地位を得てから徐々に、威厳のある王者の風格が出てくる

オランウータンやゴリラ社会におけるボスの存在は、他のオスに比べてその優位性が圧倒的であることが特徴だ。身体がとにかく大きく、普通のオスが持っていない徴(しるし)を有している。オランウータンの頬のフランジ、ゴリラのシルバーバックがその「徴」だ。

驚きなのは、こうした「徴」は先天的なものではなく、ボスになったあとに発現するという事実だ。集団のトップにいることにより威厳のある王者の風格が出てくる、ということなのだろう。

さらに驚くことに、集団のボスになれるかどうかも先天的なものではなく、その個体の「意志」によって左右されるという研究成果があることだ。生まれながらに身体が屈強であるかどうかは関係ないらしい。集団を統率という不思議な意思が特定の個体に発現し、徐々にリーダーに成長していくのだろうか。なんらかの「競争と選抜」は存在するのだろうか。

ある個体が内発的に「おれがやらずに誰がやる」と決意するからそうなるのか、集団的意思がその個体に特命的に「リーダーになれ」と啓示を与えるのか。奥行きの深い想像を刺激する仮説だ。

「ボスの徴」の仮説は、現代の企業社会や政治の場面において人材育成や能力開発の可能性を考える場合にも、様々な示唆を与えてくれる切り口だと思う。



是安知和
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ボルネオ島の人々は、愛情と畏敬の念をもってオランウータンを「森のひと」と呼ぶ

親和充足を大切にするオランウータンの「母子画像」がある。ボルネオで撮影されたオランウータンの母子の写真だ。母子は仲むつまじく片時も離れない。ボルネオ島の人々は、愛情と畏敬の念をもって彼らを「森のひと」と呼ぶ。

母子画像
リンク

原典はこちらから:
密林にすむ森のひと「オランウータン」
リンク

赤道直下のボルネオ島。眼下には起伏の少ない熱帯多雨林が広がっている。ボルネオ島は、マレーシア・ブルネイ・インドネシアの3カ国が領有しており、僕はジャカルタから国内線に乗って、南側のインドネシアを訪れた。日本と経度差がわずかで時差が1時間なので、時差ボケの心配もない。海外取材では、いかに時差ボケを乗り切るかが、結構重要な課題である。

ボルネオ島を訪れた理由はオランウータンに会うためだ。世界の大型類人猿4種のうち、ゴリラ、チンパンジー、ボノボはアフリカにすみ、唯一オランウータンだけは東南アジアにすむ。そのオランウータンは、スマトラ島にすむスマトラオランウータンと、ボルネオ島にすむボルネオオランウータンの2亜種に分かれている。ジャングルにすむため、枝をつかむことに特化した手足で、生涯の多くを樹上で過ごしている。時々鳥や卵、昆虫などを食べるのだが、基本的にはベジタリアンで、植物や果実を主食としている。


ボルネオ島の南部では、豊富な水をたたえた熱帯多雨林から、幾筋もの川の流れがジャワ海へと注いでいる。オランウータンのすむ密林へ行くためには、そのうちの一つの川を、船で半日ほどさかのぼらなければならない。近隣の町でクロトックと呼ばれる屋形船のような船をチャーターし、出航する。ジャングルの中では、このクロトックで寝泊まりし、食事もし、取材を行う。クルーは船をつかさどる船長、コック、手伝いの少年、それに撮影に同行するガイド、そして僕の5名だ。

川幅の広い河口から上流へと向かうにつれ、だんだんと川幅が狭くなってくる。水はタンニンをたっぷりと含んでいるようで、濃い紅茶のような色をしている。川岸を覆うように生える木々の上では、テナガザルや鼻の大きなテングザルが、枝から枝へ飛び移るように移動しながら葉を食べている。
川をさかのぼること数時間、いくつかあるうちの最初のフィールドへと到着した。川岸に船を着け、ジャングルの奥へと歩いていく。甲高い虫の声が鳴り響く森の中を歩くと、大量の汗が滴り落ちる。赤道直下の強烈な日差しは木々に遮られ、気温はさほど高くは感じないが、湿度が100%近いからだろう。


獣道を森の奥へとしばらく進むうちに、樹上にいるオスのオランウータンを見つけた。フランジと呼ばれる、両頬がグッと張り出した、この周辺をテリトリーとするボスだ。張り出した頬自体をフランジというのだが、単にボスを指す意味にも使う。オスには不思議な習性があり、テリトリーを掌握すると顔の両脇がだんだんと張り出してきて、顔が大きくなる。これはボスになったオスだけに限られる現象で、ボス以外のオスはフランジができない。ホルモンが影響を及ぼしているのだろうが、どのような仕組みでそうなるかはいまだ解明されていない。

フランジのオスに近付くのは気を使う。やたらに攻撃的な生き物ではないのだが、体は大きく、力も強い。さまざまな動物たちと同様、様子をうかがい、僕が敵ではないことを伝えながらの接近となる。当然、エリアが変わればフランジのオスも変わり、それぞれの性格も異なってくる。血気盛んな若いフランジもいれば、穏やかな老年のフランジもいる。それぞれの個性を見極めながら、対峙しなければならない。

ある時、小さな子どもを連れた親子に出会った。警戒心を抱かせぬよう、そっと近付く。メスはオスに比べて体の大きさが半分ほどのイメージで、かなり親しみやすい。母子は3年ほどの授乳期間の後も共に過ごし、7~10歳くらいになると子どもは独立する。これだけ長く一緒に過ごすのは、野生動物の中では珍しい。やはり同じヒト科の仲間として、人間に近いのだなと感じる。オランウータンは好奇心がとても強く、撮影しているとそばに寄ってきて、服を引っ張ったり、髪の毛を触ったりする。メスはちゅうちょなくそういう行動に出るが、子どもは多少おっかなびっくりといった様子だ。ただ、僕がそのように身を任せるのも、おとなしいメスと子どもだけで、体が大きく力持ちのボスや大人のオスの場合は危ないので、間近に寄ってきたら、静かに逃げるようにしている。

オランウータンと見つめ合うのは、コミュニケーションとしてとても有効である。ニホンザルなどは怒りをあらわにするが、大型類人猿は穏やかに見つめ返してくる。まるで言語を超えた領域で、通じる術があることを教えてくれているようだ。


100年前と比べると、オランウータンはその数を5分の1にまで減らしているという。展示用やペットとして大量に密猟され続けたことや、大規模な森林火災の影響だ。さらには、栽培効率の良いパーム油を得るためのアブラヤシのプランテーションが造成され、ここボルネオ島でも数十年の間で、破滅的な勢いで熱帯多雨林の面積が減っている。熱帯多雨林がなければ、樹上生活者のオランウータンは、自然界で生きてはいけない。ただ近年では、行き過ぎた開拓に歯止めをかけるために、さまざまな保護活動が盛んになってきている。熱帯多雨林はオランウータンだけでなく、ほかの動植物たちや我々人間にとっても、貴重で大切な自然であるのは言うまでもない。


オランウータンたちは、濃い森の緑に体毛の緋色がとても映え、そして馴染んでいた。人に類する猿。島の人々は愛情と畏敬の念をもって彼らを「森のひと」と呼ぶ。

文・写真=動物写真家 前川 貴行〈まえかわ たかゆき〉



是安知和

凶暴なチンパンジーの共食い

衝撃的!凶暴なチンパンジーの共食い
リンク より

縄張り意識が高いチンパンジーだからこそ起こる共食いの様子を紹介したBBCプラネットアースの動画です。あまりに強烈な印象から、チンパンジーのイメージが180度変わってしまうような残忍な光景です。

一列になって縄張りをパトロールしていたチンパンジーのオスたちは、馴染みのない声を耳にした途端、不気味なほど静まり返って、あたりを注意深く確認し始めます。

そして、それほど遠くない距離の木の上で、別の少数のチンパンジーのグループが、木の実を食べている姿を発見します。
そこから、チンパンジーの恐ろしく凶暴な攻撃が始まります。

■チンパンジーによる同種族間の狩りと共食いの様子
チンパンジーたちは、息をひそめて、縄張りへの侵入者に近づいた後、一斉に奇声を上げて襲い掛かります。あるものは周辺の枝をゆさぶり、木を蹴り倒して大きな音を出し、あるものは興奮したように叫び声を上げながら木から木へ飛び移っています。
それは、まるで仲間同士でお互いに士気を高め合いながら、相手を恐怖におとしめているようにも見えます。
木の実を食べていたチンパンジーたちは、突然の襲撃に、慌てて逃げ惑います。そのうちのメスが一匹、数匹のオスに襲われましたが、なんとか運よく逃げることができました。
しかし、若いチンパンジーは、無残にもその場で殴り殺されてしまいます。
そして、殺されたチンパンジーの肉や内臓は、同じ集団内のチンパンジーに配分され、全て食べられてしまいます。

■縄張り意識の高いチンパンジー
チンパンジーは、自らが属する集団の食べ物を確保するために、縄張りを持ちます。
最近の研究によって、外部から縄張りに侵入したチンパンジーを、オスが連携して攻撃するだけでなく、近隣のチンパンジーを襲って縄張りを拡大しながら、同種族間で殺し合い、捕獲した敵を食べる(共食い)ことも分かっています。

実際に、縄張り争いによって、広大な土地とエサを確保している集団も存在しています。また、共食いは、オスだけでなく、メスも行うことが複数報告されています。

チンパンジーが共食いをしたり、子供を食べる理由に関しては、まだはっきりとは判明していませんが、外敵を少しでも減らしてエサを確保し、自分の仲間が生き残るためであるといわれています。
なかには、単に、タンパク源のために捕食していると指摘する専門家もいます。

(引用終わり)



匿名希望

共感力を必要とする社会①(山極壽一)

NHK解説委員室 より転載します
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「共感力を必要とする社会」(視点・論点) 
2019年11月05日 (火) 京都大学 総長 山極 壽一 

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こんにちは。
私はこれまで40年余り野生のゴリラの研究をしてきました。それは、ゴリラから見ると人間の祖先の暮らしや人間のユニークな特徴を知ることができるからです。
きょうはこれまでの研究から見えてきた共感力を必要とする社会についてお話いたします。

まず、ゴリラと人間の違いは何でしょう。人間より力が強くて、でも知性が低いと思っていませんか? その通り、ゴリラのオスは人間の3倍くらい大きく、でも脳は3分の一ぐらいの大きさしかありません。なぜ、人間の脳はこんなに巨大になったのか。それは人間が言葉をしゃべり、言葉を使って世界を分類して解釈するようになったからだと思っていませんか?

でも、それは違うのです。

言葉が現れたのは約7万年前ですが、脳が大きくなり始めたのは200万年前、現代人並みの脳の大きさになったのは40万年前です。言葉をしゃべり始めたから脳が大きくなったのではないのです。

では、どうして脳が大きくなったのか。人間以外の霊長類は、集団の平均サイズが大きいほど脳が大きいという報告があります。おそらく、言葉をしゃべる以前に、付き合う仲間の数が増えて、仲間の性格や自分との関係を記憶するために脳が容量を増やしたのでしょう。

脳の大きさと集団のサイズの関係を、350万年前から当てはめてみましょう。

ゴリラ並みの10人ほどの集団から、現代人の脳に匹敵する150人という数になります。実は現代でも食糧生産をせずに、自然の恵みに頼っている狩猟採集民の村の人口はだいたい150人だと言われています。都市に住んでいる私たちでも、頻繁に連絡を取り合う仲間の数はせいぜい150人ぐらいです。

つまり、言葉をしゃべり、農耕・牧畜や産業を興して人口を急増させた現代でも、私たちは見返りを求めない家族のような小集団と、互いに役割を認識して助け合う150人ほどの共同体で暮らし続けているのです。

人間に近いゴリラは家族的な小集団、チンパンジーは共同体のような集団しか作れません。それは、見返りを求めない家族と、見返りを求めあう共同体が、うまくかみ合わないことがあるからです。人間がその二つを両立することができるのは、高い共感力で仲間の事情や気持ちを理解して問題を解決することができるからです。その共感力こそ、人間の脳を大きくした源泉なのです。

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(②につづく)



孫市

共感力を必要とする社会②(山極壽一)

NHK解説委員室 より転載します
リンク

「共感力を必要とする社会」(視点・論点) 
2019年11月05日 (火) 京都大学 総長 山極 壽一 

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(①のつづき)
ではなぜ、人間は共感力を高める必要があったのか?
それは、類人猿たちが未だに住み続けている熱帯雨林を出て、食物の少ない、肉食獣の危険が多い草原で暮らし始めたからです。
類人猿でもときどき食物を分配することがあります。でも、人類の祖先は危険な草原で遠くまで食物を探しに行って、それを持って帰り、安全な場所で仲間と一緒に食べることを始めたのです。

でも、樹木の少ない草原では、安全な場所は限られています。幼児が肉食獣に捕食され、絶滅の危機に瀕したために、人類は子供をたくさん作るようになりました。

赤ちゃんの離乳を早めて、次の子どもをすぐに作れるようにしたのです。ゴリラの赤ちゃんは3~4年間お乳を吸って育ち、離乳した時には永久歯が生えていておとなと同じものが食べられます。しかし、人間の赤ちゃんは6歳にならないと永久歯が生えないのに、1~2歳で離乳してしまいます。これは出産間隔を縮めて多産になるために人類がとった方策なのです。そのため、おとなと同じものが食べられない長い離乳期が生まれ、乳歯でも食べられる食物を世話しなければならなくなりました。

さらに、人間はゴリラの体重の半分以下なのに、生まれるときはゴリラの2倍の体重があります。分厚い体脂肪に包まれて生まれてくるからです。それは、脳の急速な成長を助けるためです。
ゴリラの脳は2倍になって完成するまで4年かかりますが、人間の脳は生まれてから1年で2倍になり、12~16歳まで成長し続けます。この間、摂取エネルギーの40~85%を脳の成長に送り続けるので、栄養の不足を体脂肪で補い、身体の成長を遅らすのです。

そのおかげで、人間に特有な思春期スパートという現象があります。脳がおとなの大きさに達すると、エネルギーを身体の成長に回せるようになって、急に背が伸びたり、おとならしい特徴が現れる現象です。

離乳期と思春期という人間に特有な現象は、人類の祖先が熱帯雨林を出て危険に立ち向かい、子供の数を増やし、仲間の数を増やして脳を大きくしてきた過程で現れたと考えられます。それを支えるために、人間は複数の家族が集まった150人ほどの共同体をつくって、共同の食事と育児をしてきたのです。

実は、人間の赤ちゃんは共同育児をしてもらうように生まれてきます。生まれた直後からけたたましい声で泣くのは自己主張です。体重が重く、自力でお母さんにつかまれないため、お母さんが抱き続けることができず、ほかの人に預けたり、置いたりするからです。ゴリラの赤ちゃんは泣きません。四六時中お母さんの腕の中で育てられるので、泣く必要がないからです。赤ちゃんの泣き声を聞いて、いろいろな人が手を差し伸べます。赤ちゃんに語りかける声は音楽的で、文化や言語の違いを超えて共通のトーンを持っています。絶対音感を持つ赤ちゃんはそれを聞いて、世界に受け入れられたと思い、幸福に眠るのです。

重要なことは、この早い離乳と思春期スパートに特徴づけられる人間の子どもの成長を支えるのは、生みの親でなくてもよく、親身になってくれる多くの手が必要だということです。
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(③につづく)



孫市

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